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The Day After 28

「それでは、かずさと依緒の特訓を始めます。」


本人は厳かなつもりの宣言と共に、本日の雪菜のお料理教室が始まる

参加者は先の通りかずさと依緒

武也は男性ということで免除され
朋と春希の料理できる組も当然免除

そんなわけではぶかれた三人は
雪菜たちの奮闘ぶりを見学となる

「今日のお題はお味噌汁です。」

「は~い・・・。」

依緒はめんどくさそうに
それでも一応返事だけはし
かずさはあからさまにため息をついた

とはいえ、二人とも 特にかずさとしては
全面的に嫌がっているわけではない
現在は全く料理できないが、
それは、その様に春希に望まれているからで
かずさ自身が、料理に興味ないわけでもないし
料理できなくてもそれで良しという訳でもない
特に日本に来てからは
原因が誰なのかはともかく
若干の心境変化があり
どうせならというのはある
ただ、それを雪菜から教わるというのが
色々複雑な所

そして後の三人はその光景を見ながら雑談

「それにしても、理解できないですね~。男の弱点は胃袋というくらいなのに。おいしい料理を作れる奥さんが一番ですよ。」

「それも否定しないけど、選ぶ基準はそれだけじゃないだろ、別に。」

「朋の様な計算の上の料理もどうかと思うしな。」

料理のできない妻を持つ身と
色々と因縁のある相手が料理できない身の、二人は
朋のセリフについ反論する
が、朋は納得がいなかい

「え~。二人とも女性を見る目がないんじゃないですか?」

「柳原に言われたくない。」

「朋に言われたくねぇな。」

二人は口調こそ違えど、同じように答えた
過去に、同好会を崩壊させた人間に
そんなこと言われたくないだろう

「でも、私は相手をちゃんと選んでますよ。」

「その選んだ相手を放ってここに来てるのはいいのか?」

「やだなぁ。今夜は向こうが無理だったからですよ。」

今夜は、とか言ってるあたり
前はどうだったかを語っているのに本人は気づいているやらいないやら


「いいですか、お味噌汁には、お出汁を入れて、具材のいれる順番を考え、最後に火をとめてからお味噌を入れる、それだけです。そしてこの順番さえ間違えなければそう酷いものはできません。なので、まずそれを覚えてください。」

あちらでは雪菜の説明が開始されている

「もの凄く大雑把な説明ですね、あれ。」

「いや、あれくらいでかずさは調度いいだろうな。なにせ、他人が料理をしているのすらほとんど見たことないだろうから。」

「依緒も、細かい説明苦手だろうから、あれくらいでいいんじゃねぇか?あれなら俺でも分かるしな。」

料理をそれなりにできる朋としては
あまりの大雑把さにどうなんだろうと思うが
春希としては、かずさは料理スキルどころか
その土台となるべき料理というものそのものを見ていないが故の
知識の不足が著しいので
あれぐらいから始めないと厳しいし
そこら辺、雪菜はよく分かってるとすら思う
また、武也も、依緒も自分も料理は大差ないことをこの間の花見で理解したので
あれくらいからが調度いいと感じる
自分にもあれくらいなら分かりやすいからだ

「先は長そうですね~。」

その二人の意見に朋は思うのだった

「別に長くても問題ないからな。」

その朋にサラリと返したのは春希で
武也は肩を竦めるだけ

春希としてはどれだけかかたって問題ないし
できなくても構わないから

武也は、それを答える資格がないから

「それで、今日のお夕飯はどうするんですか?」

そんな男性陣に朋は目先の問題を提起する
お味噌汁だけでは夕飯にならない

「買い物に行くか、雪菜が同時に何か作るか、出前でも頼むかだな。」

「ああ、確かにせっちゃんが何か作りそうですね。ご飯は炊いてあるんですよね?」

「それはある。」

「なら、大丈夫かな~。大人しく待ってることにしますけど・・・、冬馬さんの写真、撮らないんですか?」

「撮った時に、手元が狂わなくなったらかな。」

いきなりの朋の発案に
春希はこともなげに返す
というのも春希だって目の前の光景のレア度は理解しているし
素晴らしい絵になるとも思ってる

だから、春希としても朋には同感なのだが
それをした時にかずさの手元が狂うだろうし
こちらへの抗議も厳重なものになりそうなので
今はグッとこらえることにする

「でも、ほんと、あの2人は絵になりますよね・・・。」

前々から自分が附属でも、大学でも
一番だと譲らなかったはずの彼女のそのセリフに、二人は意外に思う

「No.1は自分じゃなかったのか?」

「それとは違う話ですよ。あの2人の組み合わせって色々と正反対なようで、凄く似ている所もあって・・・。だからとても絵になるんですよね、2人だと。あの時も思いましたけど、こうして目の前で日常の風景を見てもやっぱりそう思えるんです。それは、あの2人だからなんだろうなって。」

「似てるようで正反対だし、正反対なようで似てる2人だからなぁ。」

朋のある種の憧れと
自分では、そうなれない悔しさと
諸々の思いがこもった言葉に
誰よりもそれを知る春希が
本人だって聞く方だって
重いものだって分かっている言葉を放つ
だからこその説得力があるもの
そしてこのセリフを他に言える者が
この世界のどこにいるだろうか

だから、みな、そのセリフに
聞き入って
それを感じながら向こうにいる2人を眺める

そこにもう一人いるのだけれども

「ま、依緒じゃ役不足だわな。」

こうして見てしまうと
かずさと雪菜が並んだ姿が目に入ってしまうと
そう武也がもらすのは仕方ないかもしれない

「私とかじゃ、ああしてせっちゃんの隣にいられないんですよね・・・。」

だから朋が漏らしてしまう
二年の間感じ続けていた
悔しさの言葉を。

隣にある空間に自分がいても
隣にいる、のにはなれない
なれなかったから
知らなければ感じなかった特別さ
あの日のステージで両脇にいた2人がどれだけ特別だったのか
それから歌を取り戻した雪菜の
その隣にある気配
それは自分でないと感じてしまったから。
日常でも、ステージでも
違うのだ
春希だけじゃない
かずさの隣にいる時の雪菜もまた
自分と一緒にいる時と違うのを感じてしまったから。

「少なくとも、雪菜ちゃんにとって冬馬かずさに代わる人間はいないだろうさ。色々と有りすぎたしな。」

武也が本質を突く
朋がどんなに雪菜を信奉しようとも
親友になろうとしても
一方通行なもので
雪菜がそれと同じだけのものを返してくれはしない
雪菜の親友は冬馬かずさだけ
その理由があまりに多く
2人が共有した時間は
たとえそれがお互いに全く顔を合わすことがなかったとしても
その気配はいつだってあったから
とても長いものであり
さらにその深さもまた
他と比べようがないために
雪菜の親友になり得るのがかずさだけになってしまう
言い換えればそれほどまでに
2人の因縁は深く どうにもならないものになってしまっているのだ


「深いねぇ・・・。」

「どうしてもな。でも、言えた義理か?」

「どうだかな。」

男二人は、かずさと雪菜の深さを語ると同時にお互いへ言葉を掛け合う
そんな二人が交わした言葉を
朋は隣で、雪菜たちを眺めながら
でも、確かに聞く
なんとも複雑な人間関係が下に眠るこのメンバーに
確かに春がやってきたのを感じながら

でも、春というのはこのメンバーに限って言えば
決して肯定的な表現にならない
雪が溶けてその下に眠るものが表れるということがどういうことなのか
そして雪解け水はいつだって冷たくて、決して冬を忘れさせてくれはしない

そう、まだ、始まったばかり、なのだ



~~~~~~~~~~~~
ようやく28完成です。
ポイントは雪菜とかずさですね、今回は。
それを傍から見るとどう見えるかというお話です。
春希にとっても、それは結構重要なことでもあります。

それはともかく、ようやく形になった感がありますね。
そして、まだまだお泊り会は続きます。

あと、ちょっとだけ直しました。でも、こう読み返す度に直したくなるんですよね・・・。

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プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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