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昨日、今日、明日、それだけでいい。

今さらなにを返してもらうというのか

全てをもらったというのに

これ以上、どんな望みをもてる?

だから 今日だって あたしたちには何も変わらない、いつもの日

たとえテレビや新聞、街中でそのような話題を触れても

何も気にすることもなく、変わらない今日をおくる

それだけでいい

あの日、春希の全てを受け取ったあたしはそれだけでいいんだ―――



「だから、別に何か特別なことなんてしなくていいさ。」

「White Dayだから、少しは考えたほうがいいかと思ってなぁ。甘いものとか要求されるとか思ったんだが。」

「甘いものをくれるのは嬉しいが、だからといってWhite Dayっていう理由なら受け取れないだろ、あたし。」

「そうか?」

「分かってるくせに、きくな。」

「別に資格があるかないかなんて、考える必要ないと思うがなぁ。」

「あるだろ、それは。」

「・・・ん、分かった。」

「だいたいなんで今年に限ってわざわざそんなこと言い出したんだ?」

「それこそ、分かってる癖に。ここが日本だからな。」

「そうかもしれないが、向こうではそんなこと考えたことないだろ?」

「そりゃそうだ。向こうじゃ、それは世界の外だったからな。でも、今は違うだろ?」

「だけど、White Dayだけ考えたってしょうがないだろ?」

「それもそうなんだけどさ・・・。」

「あたしはそこまで欲張りじゃない。お前がこうしてここにいるんだから、それでいい。それだけで充分だ。世間じゃ記念日やら、愛の日だと色々あるらしいが、あたしにはどうだっていい。お前がここにいることにまさることなんて何もないんだ、世界とお前ならお前の二択ならいつだってお前をとる、それがあたしだ。それは春希だって知ってることだろ。」

「・・・そこまでハッキリ言われたら、返す言葉もないな。まぁ確かに、記念日を祝うことも、世間での習慣に付き合うのも俺たちには向いてないけどさ。」

「ああ、だからいいんだ。そんなものに囚われることなんてなくて。」

「そういうのに拘るのは俺ららしくないか。」

「ああ。あたしたちは、あたしたち。世間の標準なんて知ったことか、だろ?」

「いや、それはちょっと待て。一応、世間様に顔向けできるくらいに、常識を持って生きてるぞ、俺は。」

「・・・ああ、はいはい、そうですね。」

「というか、お前もだな・・・。」

「こんな日にわざわざ説教なんか聴きたくないからな~。」

「分かったから、体重を無理矢理かけんな、重いわ。」

「春希よりは軽いだろ、あたし。」

「そういう問題じゃない。それに俺は仕事中だ。」

「その仕事中にWhite Dayがどうとか言い出すからだろ。」

「日本にいるとこうも色々と耳にするのかと思ったら、気にしないわけにもいかないかな、と。」

「そんなくだらない雑音に耳を傾ける暇があったらあたしの声をもっとちゃんと聞いてろ。」

「それはもうこれ以上は無理だ。でないと、俺までニートになる。」

「誰がニートだ。」

「お前、かなり紙一重だってことくらい知ってるよな?」

「お前だって天才と紙一重だって理解してるよな?」

「・・・かずさ、明日の料理だが、味付けは激辛か塩辛いかで選ばせてやる。」

「高血圧になってあたしに脳卒中とか心筋梗塞を起こさせるつもりか?」

「・・・はぁ。」

「なんだよ、あからさまにため息つきやがって。」

「お前、そんなことばっかり覚えてるんだな。」

「春希が言ったんだろ。だから正しく言ってやったんだよ、クソ真面目な春希のためにな。」

「何もこんな日まで俺を怒らせようとしなくていいからな。」

「そう言って怒ったことないくせに。」

「そりゃ、かずさのこと分かってるからな。」

「お、いっぱしにあたしこと理解してる宣言か?」

「味覚は全く理解できないけどな~。」

「お前も十時間楽器を弾けば理解できるさ。」

「絶対に嫌だ。第一、そんなことしたら仕事にならん。」

「ん?仕事ならいいんだろ?」

「嫌だ、無理だ、止めてくれ。」

「そこまで拒否しなくてもいいんじゃないか?」

「今のお前に付き合ったらお遊びの領域を軽く超えるから嫌に決まってるだろ。作詞ですら嫌なのに。」

「そりゃしょうがない。お前が詞を書かないなら、あたしはオリジナルを作らないからな~。」

「才能はあるやつはお気楽でいいよな、ほんと。」

「どうだろうな?ないほうがいいってこともあるぞ。」

「・・・それは、まぁ、そういう面もあるかもしれんないけど。」

「あたしだと説得力ないけどな。こうして春希がいるから。」

「・・・そうか。」

「ああ。だから、今みたいにもっと撫でてくれ。」

「いや、そしたら仕事にならんから。」

「仕事だけは世間一般の日本人に併せなくていいんだぞ。」

「そう思うなら、手伝えとは言わないから、俺に楽させてくれ。余計な手間は増やすな。」

「増やしてるか?」

「増やしてないと思うのか?」

「増やしてないだろ。」

「無茶苦茶増やしとるわ!ネタだよな?そうなんだよな?」

「・・・そんなことないはずだがなぁ。」

「すっとぼけるのも大概にしてくれ。ま、お前を矯正する手間を考えたら、仕事に手間かけた方がマシだけどな。」

「分かってるじゃないか、春希。」

「ほんと、分かりたくなかったわ、んなこと。」

「それが、北原かずさの夫の役割だろ?」

「そういう時だけ甘えやがって。」

「夫は妻を甘やかすものだろ。ほら、今日はWhite Dayだし。」

「そこに繋げるなよ、卑怯者。それに日頃から俺ってそうとう甘い気がするんだが。」

「それは評価してやる。」

「俺はなんでお前がそんなに上から目線でい続けられるかが一番不思議だ。」

「愛されてるから、だろ?」

「それはどう考えても理論的におかしいから。」

「理屈っぽいな、お前は。」

「そういうお前は思考回路がどう考えても飛びぬけておかしいだろ。」

「そうか?」

「無自覚ってことはないよな?」

「春希だって時折わけ分からんこと言うだろ。」

「お前にとってわけわからんからといって、それを一般化しないでくれ。」

「全く、ああだこうだ、と。こんな日くらい愛を囁いてくれてもいいだろ?」

「いつも囁いてるだろ。それとそんなかずさに残念なお知らせがある。」

「なんだよ?」

「時計を見てみろ、0時過ぎた。」

「・・・さすがは春希、だな。」

「そんな褒めるな。」

「それはあたしが前にやった。」

「なら俺にもやらせてくれ。」

「人の真似するな。」

「はいはいはい。」

「で、まだ仕事終わらないのか?」

「もうちょい待ってくれ。これで終わるから。」

「はいよ~。」

「お前が邪魔しなけりゃ、日付変わる前に終わったんだがな。」

「折角、一人寂しく仕事している夫のためにそばにいる妻になんてことを言いやがる。」

「それを毎日毎晩繰り返した挙句、そばにいる以外何もしてないのはどうなんだ?」

「献身的だろ?」

「今度辞書買ってくるから、献身的の意味を引いてみろ。」

「お前が引いてくれ。」

「それじゃ意味ないだろ。」

「最初からないだろ?」

「いやそれはあったから。」

「あっ、そっ。」

「・・・やれやれ。こうやってるから無駄な時間かかるんだが。」

「放って置かれるよりはずっといいさ。」

「さいですか。」

「それにお前は終わるとか言っておきながら、いきなり仕事が増えることがあるからな。」

「ん、まぁ、それあるけど、こればかりは俺にもどうしようもないだろ。」

「だから、あたしは好きなようにしているのさ。それが一番いいって学んだんだ。」

「もう少し実のある学習をしてくれ。」

「邪魔しないだけマシだろ?」

「邪魔してないって点は議論が分かれるとこだな。」

「勝手に脳内会議してろ。あたしは春希を堪能するだけだ。」

「好きにしてくれ。」

「そうする。」

「そういう時だけは素直にうなずくよな。」

「それがあたしだからな。」

「そこは開き直るところじゃないだろ。」

「そこは人それぞれだろ。」

「・・・口の減らない。」

「そっくりそのまま返す。」

「だと思った。」

「なら最初から言うなよ。」

「それでも言わなきゃならない時があると思わんか?」

「そうだな、それは同意する。」

「それ、意訳すると俺に対して遠慮なく言うってことだろ?」

「それ以外にどういう意味が考えられるんだ?」

「考えられんな。ありがたくないことに。」

「そういうことだ。あたしは思うままに春希に言って、触れて、感じて、愛する。それだけだ。」

「いきなり話が飛んだような。どうした?」

「さっさと仕事を終わらせろって催促だよ。」

「なるほど。善処はするが。」

「さっきより、トーンが落ちたぞ。」

「追加のが今入った・・・。」

「またか。だから、あたしはあたしの好きにするんだよ。」

「言い訳になってないような。」

「別に言い訳するつもりもない。事実としてそうすると言ってるだけだ。昨日も、今日も、明日も。それだけだ。」

「はいよ。程ほどにしてくれ。それなら文句はない。」

「それでいい。」

そう、それでいい

それだけでいいんだ

それさえできるなら どこだって どんな世界だって生きている

それがあたし、北原 かずさ、だから。




~~~~~~~~~~~
日付変わる前にあげようとして失敗しました・・・。
実際に、作中で日付変わったというセリフの時くらいに日付をまたいだので
諦めて、別の用件をやって仕上げて、こんな時間にUP致しました。
でも明日に回すと絶対に先延ばしになるので、なんとか今夜中に作り上げました。

そんなわけでWhite Day記念作品にでした。

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プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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