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再び桜が咲く頃に

「いつの間にか、一年、経ったな。」

「長かったか?」

「どうだろうな、長かったような短かったような。春希は?」

「両方、かな。一年経ったのかって気もするし、まだ一年しか経ってないのかって気もする。」

近くの公園で桜並木を眺めながら
花見客の一員として歩く2人

平日の昼間だけあってごった返すような人混みではないが
出店の間を行く人並みはそれなりの数で
少なくとも、人通りが途切れることはない
同時に酔っ払いが少なく
学生や年齢層が上の人、子供を連れた家族が主役で
賑わいながらも
どこか穏やかで春を感じさせる光景
陽気がまたそれを増幅させている

そんな中、若い夫婦2人は少し異質かもしれない
身長の高い2人が行くのもあって
目立たないこともないが
お祭りの雰囲気がそんな2人を埋没させていく

そんな2人が思うことは
どうしたって、日本での月日

桜の季節にこうしてもう一度戻ってきた2人だから
桜を見れば思い出さずにはいられない
日本人の春には欠かせない桜だからこそ
余計にそれを意識させる

それに春は始まりの季節、だから。



再び桜が咲く頃に



「今年の桜はあっという間に咲いたよな。」

「そうなのか?」

「ああ。例年よりも早いし、一気に満開になった感じがある。おかげでアチコチで桜祭りの日程をどうするかって騒ぎになってる。」

「そりゃ大変だ。」

「でも、それだけあちこちで桜を見れるし、こうしてお祭りになるんだから、桜って特別なわけだ。」

「だな。ま、去年もそういってた気はするが。」

「そうな。で、それから一年経ったけど、どうなんだろうなぁ。」

「・・・それは今が、か?それともこれからが、か?」

「両方、かな。なんか区切りっぽく感じてさ、年度も変わったし。」

「区切りか、それは分かる気がする。」

「だろ?」

「ああ・・・。何せ、春が来るたびに一年経った気がするからな。」

「・・・。」

かずさのセリフに静かに同意する春希
この幻想的な光景を見るたびに
ここが日本であることを強く感じた
あの日をもう一度思い起こすことになり
それから一年経ったことを振り返り
その間に起こったこと
これから起こるかもしれないこと色々と考えてしまう

そして季節を感じることは いつだって意味を持ってしまう
2人にとっても 3人にとっても

その呪縛から逃れるには まだ一年では短過ぎて

「これを何回眺めればいいのやら。」

どれだけたてば素直に綺麗だと思うだけになるのか

「その頃にはまた別の悩みもあるかもな。」

そして時間が経つとはそういうことでもある

「それはありそうだな。」

「ま、どうせ一筋縄ではいかないのは今さらだし。」

「春希とあたしじゃ仕方ないか。」

「そこで先に俺の名前が出る理由は?」

「あたしが迷惑をかけるのは春希だけだから。」

「・・・なるほど、納得したくないが納得できた。それって最終的には全部俺のところにくるって意味ね。」

「嬉しいか?」

「俺はノーマルだ。」

「いや、それは嘘だろ。」

「そんなこといったらお前はどうなんだ?」

「あたしはどうだっていいから気にもしてないさ。お前が望むようにあるのがあたしだ。」

「・・・常識にとらわれてないやつは楽でいいなぁ。」

「それが役割分担だ。」

「役割分担、か。」

「ああ、あたしにできること、春希にできること、あたしにしかできないこと、春希にしかできないこと。それぞれあって、それをあたしたちは良く分かってるからこそ、だ。」

「・・・日本と向こうとではかずさも違うしな。」

「ここだと、いくらあたしでもただの“天才ピアニスト 冬馬かずさ”ではいられないからな。」

「・・・だな。」

「・・・おい。」

「なんだ?」

「今のツッコミ所は無視か?」

「俺としては天才ってのに異存はないし、そうして売り込んでるからな、否定はしない。」

「ああ、そう。」

「照れるくらないなら、最初から言わなきゃいいものを。」

「うるさい。照れてない。」

「恥ずかしがってるだけか。」

「それは同じ意味だろ。」

「でも、こんな会話してる余裕が俺にもお前にもあるんだから、悪くないだろ。」

「誤魔化すならもう少しうまく誤魔化せ。」

「フォローされておいて文句付けないでくれ。」

「うるさい。」

「ま、来年になったらまた思い出させてやるから。」

「・・・春希なら本当にやりそうだな、それ。」

「ああ、そのつもりだ。だから、来年を楽しみにしておけよ?」

「それなら夏には楽器をみっちり仕込んでやるか。今度は何がいい?」

「・・・やめてください、許してください、勘弁してください。」

「雪菜の希望も聞いてみるかな。」

「マジでやめてくれ。それ絶対、乗り気になったお前らに作詞とかさせられる流れだから!」

「お、春希も学習して賢くなったな。その通りだ。楽しみにしとけよ?」

「楽しめるか!」

「いや~、楽しみだ。」


そうして歩く2人は一年前と変わらぬ姿。
でも、一年前にはできなかった次の季節を語るようになっていて、それが積み重ねた月日を感じさせる

あの日、再び日本に降り立ってから、ここまで進んできた2人だから。

それを知る桜は、今日も風に吹かれており、その花弁が2人に降り注いでいる

そんな、ある春の日


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プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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