The Day After 33

ため息がこぼれる


いつかはこうなるんじゃないかって

心のどこかで思っていて

それが本当にそうなってしまった

先輩とまた仕事をする日が来たのだ


入るまでは知らなかったこと

入ってからは分かってしまったこと

私はいまだに 変われないまま・・・なんだ



The Day After 33



「という感じなんだか。」

春希はGW明けに麻理に連絡を取ったのだが、直後に出張ということで
小春のほうに連絡をしてくれと言われて、こうして連絡を取っている
ついでに、この先の予定と仕事の進め方の説明もしている

研修を押し付けられた気がしないでもないが
麻理がどれだけ忙しいか分かっているのもあり
家事以外は特にやることがないためにそれくらいならと担うことにしたのだ

小春としても年明けくらいから研修代わりのアルバイトをしていて基本は教わったが
今回は編集業務とはかなり違うので
勝手が分からないため、素直に春希に教わっている

「はい、承知しました。」

「この先、何か分からなかったりした時は遠慮なく聞いてくれていいから。」

「その際にはお願い申し上げます。」

「ま、杉浦なら大丈夫だとは思ってるけど。」

かつてのバイト時代の実績と信頼があるので
春希としてはあまり心配していない
分からないときは素直に聞いてくるだろうし
仕事に対して雑に接するような性格はしていないだろうから

「その信頼に応えられるように、努力致します。」

それよりも春希が気になるのは小春の言葉遣いだったりする

「・・・いや、というか、そんな他人行儀にされても。」

「そうはおっしゃりますが、業務ですので。」

融通が利かないのも変わっていないらしい

「だけど、顔見知りだから安心して頼めるのも分かってくれ。」

「・・・分かりました。」

まだ不服そうな声ではあるが
納得することにした小春

「それで、雑誌への掲載ですけど、結局6月のになりますよね?」

「だと思う。できれば、そうしたほうが後々楽かな。だから今月中にインタビューは済ませたいが、麻理さんが忙しさによって前後するだろうし。だから、6月になると思うけど、場合によっては遅くなる可能性もあるんじゃないか?」

「いえ、そこは大丈夫だと思いますよ。業務としてはそちら優先にすると思いますから。何せネタの大きさが違いますので。おそらくTOP記事になりますから、是が非でもそちらを優先でしょう。」

「だろうけど、出張から帰ってすぐってのも無理じゃないか?」

「そこはそれ、になるかと思います。その場合、周囲の苦労を増やすことで解決すると思われますし。」

「・・・なるほど。」

「なので、おそらく出張から戻られたなら、割とすぐにそちらに取り掛かられるかと。」

「時期的にもそうだよなぁ。それ以上遅いと間に合わないし。」

「ですね。」

「なら、とりあえず、そういうことで予定を立てておく。後でメールしておくから。」

「お願いしますね。」

「ああ、それじゃ、また。」

「それでは失礼します。」

その言い方に相変らず固いやつと
自分のことは棚にあげながら思う春希なのであった

春希が感じたのはそれだけで
小春とは違い、気楽なものだった



~*~



「こんな感じの予定だけど、かずさも問題ないよな?」

夜になり、春希はかずさに先の予定の確認をする
かずさが何も知らなくても問題は特にないのだが
取材に同席するらしいので伝えておくことにはする

「日にちが近くなったらまた言ってくれればそれでいい。」

それに対し、かずさはあまり関心を示さず
いつもと変わらないそっけなさで流す
ピアノに関すること以外はいつもこんなもの
春希もそれをよく知っているから気にしない

「2~3日前には言うつもりだ。」

「ああ、それで充分だ。どうせあれこれ考えたって、大して変わらないしな、あたしは。」

「だろうなぁ。だけど、少しは考えておいてくれよ。」

「ん?あたしが答えることあるのか?」

「なくはないだろ、多分。」

「あるんだか、ないんだか。」

「いや、あるにはあるだろ。というか、自分のこととか、答えられそうなことくらいは答えてくれよ。でないと、後で麻理さんに文句いわれそうだし。」

「そうは言うけど、結局春希があたしの答えにいちいち口を挟むんじゃないのか。」

かずさがそのセリフを発した瞬間に
2人は揃ってあることを思い出す
かつても同じような事が取材中にあったし、かずさが似たようなセリフを発したことがあるからだ
そのとき口を挟んだのは春希ではないから、それを言われたのは春希ではないけども
その場にはいた
そして、2人にとってあの時は印象深いから
セリフだけで、こうして簡単に思い出せる
あの時の会話の中身も、だ

「それこそ、お前がひねくれた対応したり、どうでもいいと流したりしなければしないぞ。」

「でも、何ヶ月も前のコンクールのこととか言われてもそんなの今更だろ。あと、あの時はお前がこっちの癇に障ることばかり聞きやがったから、そういう対応になったんだろうが。」

「いや、それは待て。お前の癇に障らない質問なんか存在しないだろ。」

「ま、聞き手が春希だからな。」

「・・・俺以外にはまともに答えてなかったくせに。」

「こっちのこと、何も知らずに適当なこときいてくるからな。」

「・・・どうしろと?」

「あたしは、そういういのは向いてないってことだ。」

「そんなことは百も承知だ。前にお前の取材したときを考えれば、フォローする身としては気が気じゃない。」

「な~にが気が気じゃない、だ。あれだって、春希が北原になったり春希になったりで、やりたい放題してくれたじゃないか。」

「そういうお前も冬馬になったりかずさになったりしてただろ。『知ってるくせに』とか『全部お前のせいだよ』とか言いやがって。」

「だって、お前は知ってただろ、全部。それなのにそんなこと聞きやがって。そりゃあたしだって言いたくなるさ。」

「そりゃ知ってはいたけど、仕事上きかなきゃならないんだって。俺が勝手に書くわけにもいかないんだから。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

これを巷では夫婦喧嘩というのだろうか
今度の取材について話し合っていたはずが
何故か話題はかつてのことになっている
お互い、あの時は距離があって、でもとても大切な時間だった
単なる取材だったなんてとてもいえないくらい
2人にとっては大切な時間

前夜での再会から、取材で触れ合った互いのこと
変わったこと、変わっていないこと
それをお互いに見せて感じ合って
五年を埋めた2日

どちらの日もそれぞれ意味があった
だから今でもこうしてすぐに思い出せる

思い出せるが為に、先のことの話し合いには全くならない

「・・・と、とりあえず、今は次の取材のことについて決めるぞ。」

「だから、あたしの後に春希が口を挟むなら意味ないだろ。」

「そうされたくないなら、お前もTPOとか、キャラとか、発言内容とか考えてくれ。看過できない問題発言が多すぎるんだ。」

堂々巡りし始める2人の会話
結局は平行線

春希はかずさにも答えてもらいたいが
かずさの考えなしの発言は阻止する必要があると思っている

かずさは関心をもたれていることに
関心がない為に、基本的に自分のことを語るのを好まない

そんなかずさに取材することがどんなに面倒か
そして、素顔を知らない人では冬馬かずさにはかすりもしないが故に
取材が成立しない状況

また、知りすぎている春希ではやはり
ピアニスト冬馬かずさの取材にならない
公私混同せずにはいられないから

だからこそ
春希は麻理さんなら、という思いもある
冬馬かずさと北原かずさを知り
それでいながら 冷静に見てくれる人だと思う

取材の成功の為に
そして春希が後で苦労を背負い込まないようにするためにも
今のうちにできる用意はしておきたいし
刺せる釘は刺しておきたい

のだが、果たして、それがうまくいくかは

まぁ、ご想像の通りである



~~~~~~~~~~~~~~

実に間の回で中身の薄い回です。
ただ、春希と小春の感情の違いをちょっと出しておきたかったもので。

それと、どこかで麻理と小春の回をはさみたいのでその前フリでもあります

さて、最大の問題は取材回ですが、どうなるやら・・・。

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プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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