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The Day After 34

「で、なんであんたがここにいるんだ?」

「なんでって、あたしが社長よ?こういう大事なときくらいは顔を見せとかないと。あと、春希くん一人じゃあなたのフォローするの大変でしょうし。」

「・・・で、本音は?」

「もちろん、面白くなりそうだから。」

「つまりは邪魔するつもりなんだな?」

「だから邪魔なんかしないわよ、あなたじゃあるまいし。」

「誰が邪魔するっていうんだ。」

「あなたよ、かずさ。どうせまた場の空気を悪くするんでしょうから。」

「あたしはそんなことしない。」

「よく言うわね。今までの取材だってどれだけ大変だったか。あなたは覚えてなくても私は覚えているわよ?」

「・・・今は春希がいるからあんたがいなくても大丈夫だ。」

「どの口がそんなこと言えるのかしらね。」

「あの・・・取材、始めたいのですが・・・。なぁ、北原?」

「だから申し上げたんですよ、親子同席させると話が進まなくなりますよって。」

「・・・なんかすまん。ケンカするほど仲がいいとか、そういうことかと思ってたんだが。」

「まぁ、間違ってませんが、それだけじゃすまないんですよ、2人とも。ピアニスト同士なので余計に。」

「・・・なるほど。」

「・・・取材になるんですか?これ。」



The DayAfter 34



「それでは、始めさせていただきます、よろしくお願い致します。」

「よろしくお願い致します」

「はい、よろしくね。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

「・・・。」

春希がなんとか場を収め、ようやく始まった取材だが
先ほどまでのを引きずって、麻理と小春の挨拶に、ずさは口を閉ざしたままで、曜子と春希しか答えを返さなかった
それに呆れる曜子と、これが噂の取材嫌いな冬馬かずさかと感心する麻理だが、もちろん、そんなことでくじけるはずもない

「まず、始めにこの二年間、オーストリアを中心に欧州で活躍し、いくつものコンサートを成功させ、コンクールにも入賞を果たしてきましたこと、おめでとうございます。それで、これまでの歩みを振り返ってどうでしたか?」

「・・・別に」

そんな麻理のある種お決まりともいえる入り方に
かずさがどこぞの女優様のように答える

なお取材のスタイルは、とりあえずかずさに言わせて
後からフォローを入れるというかつてのスタイルで進めることにした
そうでもないと、かずさが全く口を開かないと考えられたからだ

そして、最初に言ったセリフがそれだから、春希と曜子がその答えに笑いそうになる

知らない人にとってはクールで取材嫌いな冬馬かずさそのもので
知ってる人にとっては子供じみた反抗だからだ

「特に感慨はないと?」

「ないな。」

そして、先ほどから小春は横で大人しくメモを取っている
今日はあくまで新人として研修という形での参加

「ですが、若手ピアニストとしてはかなり注目されているようですが?」

「それが?」

ちなみに、このそれが?は純粋な疑問としていっている
かずさにとっては若手とかベテランとか区別はない

「すみません、あまり、若手とかベテランとかそういう括りで考えておりませんので。」

なので横から春希がフォローする
さすがに、これだけは分からないだろうから

「なるほど。」

それを聞いて、麻理はやはりそういうことなのかと思う
かずさにとって比較する相手はいつだって母親一人だけのようだ

「では、むしろ、目指しているコンサートや賞などがあればお教え願います。」

「あ~・・・、ないな。」

「・・・え?何かないんですか?」

「明確なのは、ないな。」

「ですが、お母様が目標なのですよね?それに際して・・・」

「目標じゃない、障害だ。」

「・・・はぁ、なるほど。」

「麻理さん、そこら辺は、まぁそれで。」

またも横からのフォロー
それを楽しそうに眺めている曜子は、自分がフォローする必要もなく
楽しんでいるだけでいい環境にいることに
同時に娘がピアニストとして、どうにか形だけとはいえ取材を受けていることにご満悦なのだ

「どちらにせよ、世間での評判はともかくとしましても、ご自身でこれを成し遂げれば超えられたという実感がわく何かがあるかと思うのですが?」

「それが難しいんだ。これが果たせなかった、これが未練だって話を聞いたことがないからな。」

「そりゃ、言うわけないでしょ、よりにもよってあなたに。」

「だろうな。」

冬馬曜子がそんな弱音をわざわざ冬馬かずさに言うわけがない
だから、かずさは明確な目標はなく
周囲の評価からまだまだ劣っていると思っているのであり
それぐらいしか判断根拠がなかったりする

そして、隣で聞く春希だけはかずさの明確な目標を知っている
ただ、かずさがそれを敢えて言わないなら
春希が言うことはない
あくまで、今日はかずさに任せている

「そうなりますと、先の長い勝負になりますね。」

「それぐらいでないと意味がないだろ。」

気取った風にでもなく、サラッとこんなことを言えてしまうのがピアニスト冬馬かずさ
その姿に麻理でさえ、一瞬見惚れた
余計なものをもたない、ひたすらピアノにストイックなピアニストの姿だったからだ

「・・・分かりました。それでは次の質問に移らせていただきます。このたび、日本で公演が決まりましたが、意気込みを聞かせていただけませんか?」


そして次の質問にうつっていく
こんな風にして、インタビューは進んでいった



~*~



「以上になります、ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」

「お疲れ様です。」

「ま、楽しめたかしらね。」

かずさ以外が締めの挨拶をしてひとまず取材は終了となった

「にしてもすみません、麻理さん。ぶっつけ本番になってしまって。」

前に、顔合わせした上でかずさの取材をということにしたのだが
結局、予定の都合上、それが難しくなりこうしてぶっつけ本番となった
そのため、冬馬曜子の評価は悪くはない、という程度の評価

「今回はこちらの都合でそうなったのだから、非はこちらにある。その点は気にしないでくれ。それよりもだ」

「なんですか?」

「やはり北原でないと、なかなか成果は出せそうにないのを実感した。フォローがあってようやくつまらない形だけの取材にしかならないのだからな。」

麻理自身、今回の取材がどこでにもある平凡なもので
春希が出した成果と比べて何枚も劣ることを痛感していた。

「そう簡単に同じパフォーマンスをたたき出されても困りますけどね。」

だが、春希や曜子にとっては問題無しなので、これでも充分なのだ
とりあえず、形だけでも取材になっただけ大分マシである

「なぁ、似てるか?」

そして、かずさだけはずっと思っていた疑問をとうとう口にした

見た目は似てるかといわれると微妙で、クールな美人系だというくらいの共通点だし
スタイルではもはや言うまでもないくらい差がある
さらに、性格もけっこう違うというか、共通点もあるが違う所も結構あり
全体的に似てるとは言い難いと思える

「似てる部分もあったってだけだし、印象みたいなものだから、そこまでよく似てるわけじゃないぞ。」

春希自身、何となしにそう思っただけで
具体的に根拠があるわけでもなく、あくまで似てるようなくらい
結局は、春希の主観によるもの

「なんたか納得いかない気がするが。」

そして、かずさとしてはその春希の主観が大事で引っかかるところ
だから、それを簡単に流すことはできない

そして、実は真理もそれとなく気にはなっていたのだが、こうして本人に取材してみると春希が自分にどういう印象なのか疑問になってくる
というより、どこか自分に彼女の面影を感じていただけな気がしてしまうし、探していただけに聞こえてしまい、かつての自分が馬鹿らしく思えてしまう
もちろん、何が馬鹿らしいかなんて分からないことにしてるが。


そんな風に春希とかずさの会話を聞いて微妙に表情を動かす麻理を見て
曜子だけはなんとなく理解してた
春希がなぜ、似てると評したか

(不器用そうなところとか、似てそうよねぇ)

自分の娘も、目の前の仕事一筋そうな女性も、色々と不器用な気がして
それが春希の中で結びついたのだろう

(それに・・・)

その隣で今日は新人ということで控えているだけのポニーテールの彼女だが
話によれば小春希と称されるくらいらしい
そんな子が今日は静かに仕事に集中している フリをしているようにみえるのもあって
曜子は春希を中心とした人間関係に思いをめぐらし一つ頷く

(ほんと、かずさも運だけはいいわよね~。)

運という言葉で片付けるのは単純化し過ぎている気もするが
最終的には、こうしてかずさの隣でかずさの世話をしている彼を見ていると
そう思えてならない
悔しいから言わないが、少なくとも男運だけは自分よりもかずさが恵まれているのは確かで
そこだけは負けを認めざるを得ない
それらくい、春希には感謝がある、曜子

(でも、まだ終わってないのよね。)

今は運よく勝利したがこれからも勝利し続けることができるかはわからない
だからこそ、自分が命を延ばす意味があると思うのだ
可能な限り、命を延ばし、2人を助けることが人生最期の大仕事である
ピアニストとして、できることはない
けれども母親としてはまだ生きる意味がある

「どうせ、感覚の鈍い春希のことだから、大した理由なんてないんだろうがな。」

「はいはい、言ってろ。」

他愛無いもことを言い合って 本人たちは無自覚で見せ付ける様を見ていると
そんな思いも意気込みも、空回りしているだけな気もしてくるが
まだ全てが終わったはずがないことだけは知っている

だから、今日を生きて 明日を生きる 冬馬曜子

そして春希とかずさはいつものペースで語り合い
それを眺めるしかない麻理と小春 であった。



~~~~~~~~~~~~~~~
非常に遅くなりましたが、インタビューシーンになりました。
本当はもっと長かったりしたんですが、中身が微妙なことと
私生活に関してのインタビューはまだ時期尚早な気もして、こんな感じに。
次に34.5をはさんで、35でコンサートにもって行く予定です。
そして秋にはかずさと春希の活動が国外なので、わりと短めになり
また冬が来たときに、色々と動くかと思います。
アニメを見ながらだと色々ぶれるかもしれませんが、現状はそういう予定ですね。

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プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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