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『届かない恋』ができた

「でもこれを改めて見ると、驚きだよな。まるで予言のようだ。」

「サビのとこだろ?秋になったら見え始めて、動き始めた。まさかそうなるなんて、自分で書いておきながら、さ。」

「・・・ほんと、春希は未来でも見えてたのかと思うような歌詞、だな。」

「まさか、だよ。」

「まさか、だな。」

「あんなタイトルつけなきゃよかったと後悔もしたよ。あんなタイトルをつけたせいで、ああなっちまったのかなんて・・・思ったりもしたんだよ。」

「いくらなんでもそれは関係・・・。」

「ないさ、そんなこと。でも、人間ってバカな生き物だから、そうやってどこかで何かのせいにしたくなるんだ。たぶん、そうしないと自分を保てない弱い生き物なんじゃないかって。」

「・・・春希。」

「それで何かが救われるわけでもないし、本当のところはただの逃避なんだけどさ。そんなこと思ったりするんだよ・・・。」

「春希にはそうだったとしても、それでも、あたしにとってはこれが救いだったよ。」

「・・・かずさ。」

「最初はこれも東京に置いていくつもりだった。全て置いていくつもりだったんだよな。でも、置いていけば失われるから、どこかの誰かの手に渡るから、そんなことできるわけがなかったんだよ。で、持って行った。そしたら、これが宝物になって、さ。あたしにはこれがあるんだって思えたから、だからウィーンでもあたしはピアノを弾き続けていられたのかもしれない。ピアノを辞めずにいられたんじゃないかって。ピアノをやめたらこれを弾けなくなるから、お前と話ができなくなるからって・・・。すぐにあたしには、一番大切なものになって、あの参考書よりも大切なものにだよ。それがよかったかどうかなんてわからないけどな。」

「・・・宝物か。でも、それは多分、みんなそう思ってるんじゃないか?俺にだってこれは宝物だし、多分、・・・。」

「雪菜にとっても、か。そうかもな。少なくともこれを作ったことをひとつの曲としてそれぞれが作り上げたことを後悔はしてないだろうな。呪縛になったとしても。」

「・・・呪縛、でもあるな。前にも言ったけど、大学時代お前から旅立つときにもこれを歌ったし、それがあの頃の俺たちにとっては儀式で、それを経ることで前に進めたということってことは鎖だったってのも間違っていない。」

「結局はどっちもってことだろ。」

「絆であり鎖でありか。」

「どっちにとるかは時と場合によるってやつだな。」

「その通り、だな。・・・今はどっちなんだろうな?」

「誰にとっても常に両方さ。あたしにもお前にも雪菜にも。」

「それをそうハッキリ言える強さが・・・ほんと、羨ましいよ。」

「あたし一人なら言ってないさ。お前がここにいるんだからお前のためになら言える、それがあたしの強さだ。」

「・・・そっか。」

「自分のためになら死んでもそんなこと言えないし、資格なんかないよ。春希だって、同じようなことしてきたろ、この二年間。そういうことだ。そんな所ばかり似てるよな、ほんと。そして、そんなあたしたちだからこそ、あの曲を作ることができたし、今もどこかで歌われてるかもしれないものになったんだろう。」

「それもまたよかったのやら悪かったのやら。」

「それこそ知らんよ。どっかの演劇バカのせいでもあるけども、それだけのせいじゃないしな。元々はライブやったことだし、その時にあれだけ盛り上がってた以上、自業自得だろ。」

「でも、これって他人のために、作ったものでも演るものでもないんだよなぁ。それなのにどうしてみんなに受け入れられたのか不思議ではある。ま、かずさと雪菜の功績な気もするが。」

「でも、その原動力はお前だろ。三人が三人の為に作って、演ったからこそのパフォーマンスだ。技術だけ磨けばいいなら、芸術なんて言わないってこと。これも、そういうことだ。」

「そういうもの、か。絆で呪縛だからこそ、作り上げられたものになるなんて。芸術ってのはなんていうか・・・。」

「ろくなもんじゃない。」

「自分がそのカテゴリに入るのを理解してのセリフなんだろうな?」

「むしろあたし自身が証拠なくらいだよ。これをこうして今も持ってることからもわかるだろ?それとそんだけ重いからこそ他人の心を動かすことさえあるんじゃないのか?あたしは勝手にそう思ってる。」

「詭弁なような、そんな気もするような・・・。」

「・・・そんな曲だから、そのうち、またこれを演ることになるかも、な。」

「・・・その時はまた練習しなきゃならないのか、俺。」

「・・・ああ、その時はまた徹底的に鍛えてやるさ。その時だってあたしは変わらずにお前の隣にいるんだから。」

「・・・そうだな、だからその時がきたら、また頼む。」

「任せろ。またあたしがお前をかっこい男にしてやるさ。」



~~~~~~~~~~~~~~~~
そんなわけで、前回記したとおりのオマケとしての少しシリアスな雰囲気なSSです。
前回のは個人的には箸にも棒にもかからぬものになってしまったような気もするのですが
そうでもなかったのでしょうかね
ただ、あまりに推敲の回数が多くて、時間がかかったために統一感というかうまく書き上げるのに失敗した気はしてるので、やはり書くときは集中して書くことが大事と学んだりしました~。
ということで、『届かない恋』のSSでした。


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感想

短期間で新作が読めて嬉しい限りです。「届かない恋」は時と場合によって絆にも鎖にもなるというのは言い得て妙な表現ですね。CC編ではかずさにとって絆であり、春希と雪菜にとっては鎖でした。coda編ではどうだったのでしょうね?でも3人とも最後は絆の方を強く感じると思います。3人を引き合わせ学祭ライブでの文字通りのあのキラキラ輝いていた時間はこの曲と共にあったのですから。次作も楽しみにしています。
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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