秋空の下、歩く道

「春希~、散歩に行くぞ~。」

「・・・。」

「なんだ、その微妙な表情。不満なのか?」

「犬が言葉を喋れたらそんな風に声をかけてくるのかねぇ・・・。」

「なんだそりゃ?」

「こっちは仕事中なんだが・・・。」

「別に後回しでも問題ないだろ。ほれ、行くぞ。」

「・・・はいはい。」



秋空の下、歩く道



「ん、いい天気で心地いいな。」

「そりゃ、良かった。しかし、なんでそんな唐突なんだ?」

「そろそろ涼しくなってきたからな。」

「夜に出歩かなくてもいい季節になったってことか。それにしても思いつきまっしぐらで。」

「けど、このくらいだと昼間歩くのにちょうどいいだろ?」

「それはわりと。歩くのに暑くもなく寒くもなく、いい感じではある。残してきたものを忘れれば。」

「いい加減しつこいぞ、もう出歩いてるのに。こうやって歩いているといい気分転換になってるだろ?だからわざわざ散歩に誘ったんだ。春希の健康管理もあたしの大事な仕事だからなぁ。」

「はいはい、言ってろ。」

「いや、冗談だけでもないぞ。こうしないとお前は運動しないし。」

「元々、学生時代からも生粋の学力主義頭脳派だったから。」

「春希らしい、色々と問題のある主義主張だな。」

「そんな主義、日本語にはないけども。」

「そう誤魔化したところで、事実、春希はそうだろうが。学力偏重まっしぐらだろ。他に得意なことがないし。」

「・・・結論はそこだから切ない限りなんだが、そういうことではある。俺にも他にもっと格好いい特技があれば良かったんだが・・・。」

「あたしはお前の言う格好いい特技の為に色々と犠牲にしたが、それでもか?」

「それは極端過ぎる。もう少し控え目でも充分だから。」

「そうはいうが、ひとのこと言えた義理か?」

「そうなんだよなぁ~・・・。勉強以外特にやってなかったから、特技がないんだよなぁ。」

「ついでに、特技:お節介、の強化ばかりしてたんだろ。」

「それ、特技となんか違わないか?」

「春希レベルまでいってたら、特技と呼んでもいいと思う。」

「特技という日本語を考え直すことになりそうな話だ。しかもいい意味じゃないし。てか、なんでそんな話になったんだ?」

「学力偏重主義の誰かさんが運動不足だからってところだな。」

「スポーツの秋か・・・。」

「春希には似合わんな。」

「思ってても言わないでくれよ。ただでさえない運動へのやる気が余計に消える」

「0はなに言ったって0で変わらないだろうに。春希って、何かスポーツできるのか?」

「あ~・・・、なんだろう。」

「よくわかった、できないんだな、予想通りだが。」

「どうせだよ。そういうかずさはどうなんだ?」

「春希ほど、運動音痴じゃないぞ、あたし。」

「嘘!?」

「嘘じゃない。格別得意でもないが、平均よりはできる方だ、体を動かすのはそこまで嫌いじゃないし。」

「それは嘘もいいとこだろ。だったら日頃は何故あんなにもグータラなんだよ。」

「それは単にあたしがやらなきゃならないことがないだけだ。」

「・・・そこも物凄っく突っ込みを入れたいが、じゃあお前は走るのとか苦手じゃないのか?」

「強制されてでなければな。」

「正直、信じられないのだが・・・。」

「あのな、少なくともお前よりは体力には自信があるからな。でないとピアニストなんか務まらないだろ。」

「体力はそうかも。でも、足腰は・・・。」

「それこそお前を蹴飛ばせるくらいには丈夫だ。」

「同意したくはないが、説得力が無駄にあるなぁ。」

「だろ?だから、あしたは運動がダメってことはないのさ。」

「なら定期的に体を動かすといいんじゃないか?」

「春希がやるなら、付き合うぞ。」

「主語は俺なのか?」

「当たり前だ。あたしよりも、明らかに春希の方が運動の必要性があるだろ。」

「そうか?少なくとも俺は毎晩結構な運動を・・・ってその表情はないだろ。」

「いや、春希がまさかそういうオヤジくさいことを・・・。」

「単なる事実としてだよ。あれって結構体力使うし。」

「運動になってると思うか?足腰が鍛えられるか?」

「それは・・・ないかも。」

「だろ?確かに体力は使うかもしれないが、健康に結びつく運動とはとてもとても。だから、春希は運動する必要があるわけだ、理解したか?」

「随分、得意げで。」

「そりゃ、日頃から動け動け言われてる身としては、絶好の報復チャンスだからな。」

「そんな機会は是非逃してくれてかまわない。」

「やなこった。チャンスは活かさないとならないんだろ?マネージャーさん兼プロモーターさん。」

「それはどっちかというと社長のセリフ。」

「お前だって似たようなこと言うだろ。」

「まぁ、言わないことはないけど。」

「だから、珍しくあたしが素直に言うことを聞いたんだから褒めてくれていいんだぞ?」

「ツッコミ所が多すぎてどこからツッコメばいいんだよ!?」

「珍しく素直に、からだろうな。」

「なんだろう・・・、かずさは言いなりになってるといっても過言ではないのに、言う側がこんなにも大変なのは。」

「人をケアするってのは大変ってことだな。」

「される本人に言われてりゃ世話ないわ。」

「でもあたしだってこうして春希を散歩に連れ出してるんだから、同じだろ?」

「本当にそこは同じか?同じカテゴリーなのか?あと、なんで俺が散歩に連れ出される犬側なんだ?」

「いや、犬側とはいってないぞ。ろくに運動をしない主人を心配した犬の心遣いに近い。」

「それだと確かに連れ出さされる側で正しいが、納得しがたいような・・・。」

「なら運動しろ、運動。」

「かずさにそう言われるのはもの凄く理不尽に感じるのは気のせいじゃないよな?」

「だからあたしは春希が運動するならあたしも付き合うって言ってるだろ。」

「・・・考えておく。」

「考えておくだけで終わりそうだな、それだと。」

「ならかずさは考えているのか?」

「ん?ならあたしが決めていいのか?」

「いや、待て。それは待ってくれ。嫌な予感しかしない。」

「なら、やっぱり春希が決めるしかないだろ。」

「でも仕事が忙しい俺にはなぁ、体力的にもキツいし。」

「よくいう。こっちだと母さんや美代さんいるから、明らかに仕事の量減って、余裕あるだろ。じゃなきゃ、家の整理なんかしてる暇ないだろうが。」

「相変わらず、無駄に細かいとこまで正確に俺の事情を把握してるやつめ。」

「そこは抜かりないからな、あたしには。」

「自慢することじゃないから。そんな時ばっかり自信満々に答えてくれるな。」

「で、時間に余裕ができた春希はどんなスポーツが希望だ?」

「・・・散歩でお願い致します。」

「それをスポーツと主張するのはどうかと思うが、春希にはそれくらいしか選択肢がないよな。だから、あたしがお前を連れ出したで正解じゃないか、やっぱり。」

「巡り巡ってそこか・・・。こうして散歩する運命だったのか・・・。」

「というわけで、天気のいい日はしばらく散歩に出かけるぞ。のんびり歩くだけなんだ、いいじゃないか。」

「そうだな。・・・その方が早くこの景色にも慣れることができるだろうし。」

こうして歩いていると、様々な人たちとすれ違う

犬を連れて散歩する子供や女性
杖をつきながらゆっくりいく、ご老人
足早に目的地へいく、スーツ姿の男女
はしゃぎながら進む子どもたち

そんな中に
例えば、制服を着ている学生たちがいたとしても

中でも、ここから数駅先の高校のものを着ている子たちがいても

しかも、それが男の子と女の子の2人きりで歩いていたりしても

さらにはその男の子がギターを背負っていたとしても

目を背けることなくすれ違える日が来ることを信じて

2人は

秋の河川敷を行く



~~~~~~~~~~~~~~~~
実は携帯が壊れかけていたので、買い替えたこともあり、多少書くスピードが戻りつつあります。
一時期はPCの前以外、一切出来なかったため、大分スピードが遅くなってましたが、改善されたため、こうして短編も書く余裕があります。

そんな訳で出来たのが、この秋に散歩する2人です
もちろん、ポイントは歩いている場所と季節ということです。

そして、小説は限定版は買い損ねました。即座に売り切れたそうで・・・。そこはまぁ、仕方ないとあきらめることに。未練がなくないのですがね。

また、リクエストを頂いたのですが、とりあえず一旦貯まっているリクエストを整理が先決ですかね。また、記事で纏めようかと思っています。ただ、今回のお題は難易度が少し高いと言いますか、かなり想定しづらい状況なので書ける自信があまりないのは先に申しあげておきます。

それでは、また週末に更新できると信じて(宣告することで自分を追いつめて 笑)


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

感想

更新お疲れ様です。
こういう2人の他愛のない会話の話は好きですね。今回の様にかずさの方から誘う時は大抵の場合、春希が仕事に忙殺されてかずさをかまってやれていない時で、その事に不満を感じたかずさが(春希が自分の為に頑張ってくれているのは承知しているのだけれど)2人きりの甘い時間を過ごしたいが為に運動不足云々を持ち出したといったところでしょうか?春希もその辺は分かっていている気がします。
さて今月の10日にお疲れ様本が出ますがその中にアニメの続編は無いという記述があると聞きましたがどうなのでしょう?お疲れ様本も当初は一般販売の予定が無かった物がこの様になりましたし、オンリーイベントも前回で最後と言われていたのが来月行なわれるのですから、アニメの続編の可能性もまだまだ捨てたものではないと思いたいですね。
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR