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春よ、変わらぬ春を

「今年も変わらずに綺麗だな、ここの桜は。」

今年もまた、この街に春がやってきて
それを何よりも伝えてくれるのがこの桜の木々

日本だからこその春の風景 象徴

そんな桜を見にかずさと春希は2人で今年もこの桜並木にやってきた

「今年もまた無事にこうして桜をみれて何より、だしな。」

満開の桜の美しさを素直にかずさが褒め称えるのを聞きながら
春希の返した答えは、かずさが声なき言葉で語ったことへのもの

「心配性なのは今年もまた変わらないみたいで。」

春希がわざわざそっちを答えたことに、さすがは春希と思いつつ、軽く苦笑しながらかずさはこたえる

「お前の分もだから、減ることはないさ。」

そんなかずさに春希は春希らしくで返す

「そんなんだとすぐにハゲるぞ。」

「ストレスによる脱毛でもない限り、結局は加齢によるものだから、そこは俺にはどうにもならん。」

春希の言いたいことを理解しつつも、その意味の重さにワンクッションおこうと
かずさはいつもの雰囲気に軽く誘導し、春希もそれに気付き敢えてのっかる

「心配し過ぎるとストレスたまるだろうから、結論としては正しいんじゃないか?」

「ストレス性の場合また生えてくるから一時的なものだし、部分的だからまた違うと思うが。」

周りが思わず振り返る容姿の夫婦なのにそらした会話内容はなんとも言えない微妙なもの

ただ、それでこその2人ともいえる

「とはいえ、なにも桜を見ながらする話でもないけどな、こんなこと。」

でも、いつまでもそうやって逸れてばかりもいられなくて

「そりゃそうだ。・・・だけど素直に桜を楽しめるか?」

少しずつ話の軸を戻していく

「それが一番難しいよな。多分、そんなことできる日は来ない気がする・・・。」

だって、春は雪解けの季節だから

雪がとければ眠っていたもの全てが露わになる

なかったことになんてできやしないから

「だから今年も桜を見れたことを、こうして東京で、2人で眺めていることに安堵を覚えるんだよ。」

「それはあたしにも分かるよ。」

桜を眺めながらの春希のセリフに、かずさも同意する

しざるを得ない

来年もまたこうしてこの街で桜を見て 春を感じられる保証なんてどこにもないから

「桜を今年もゆっくり楽しめた、な。」

「ああ、変わらずに楽しめたさ。」

2人、今年も変わらずにここにいられることに

桜を楽しめることに

喜びを感じ 安堵を覚えしまう

そんな日々がまた続くことを願う

願うということをする必要がある

桜をこの街で見ること、というのは

それは思い出が降り積もっていて その全てとともに一度は捨てた場所に
こうしてまた2人 戻ってきたからこそ、できること

冬を2人で乗り越え、その先の春に辿り着いたからこそ なのだから

「今年も写真を撮ってお母さんに見せようか。」

「それで今年も花見に連れてけとかいう母さんの無茶の相手するわけか?」

「確かにそんな展開になりそうだが、それもまたお母さんなりの強がりと気遣いだから。どうかとは思うけど。」

「強がり、か。この期に及んでもまだ変わらないもんだな。」

そしてもう一つ変わらなかったものがある

それが家族

桜を見ていると感じる散りゆく儚さ

美しく咲き誇り、春の象徴である桜も、その命は脆く短い
過ぎゆく季節の中で僅かな時間にしか咲き誇らない
そしてその散り際の美しさこそ桜の最大の魅力

儚く、それゆえに美しい

そんな桜だから、見ていると、その儚さに触れると、不安がよぎってしまう

命の灯火が揺れていても、揺れているからこその強がりを続ける曜子の姿

悪化してないとはいえ、病状は決してよくない
そして完治する見込みはなく、まさに不治の病
確かに見て取れる衰えていく姿

だから、こうして2人で何も変わりなく桜を今年も見れたこと
その桜を春を母と分かち合えることどちらもとても大切で貴重なこと

季節の移り変わりを無事に迎えた

今年も家族と迎えられたのだから

「来年、こうしてまたここでこんな風に桜を楽しめること、できるといいんだが・・・。」

「それこそ、来年になってみなけりゃ、だろ。ま、母さんのことだから、そうそう簡単にはくたばりはしないさ。少なくとも花見連れてけとかごねてるうちは。」

「ごねてるのも元気な証と思えば、ってことだな。」

「それに来年は家族が増えてるかもしれないだろ?」

そんなかずさのセリフに春希は一瞬目を見開き
それからすぐに力を抜いて、微笑む

「そうだな、そうなるといいな。」

「こればっかりは運頼みだろうけど。」

「でも願うのは悪いことじゃないだろ?ただ、そうなったらちょうど春辺りに出産になるから、こうして花見には来れないかもしれんが。」

「わざわざ現実に引き戻してくれるやつだな、お前は。」

思わずかずさが笑う
そんな春希も変わらないよな、なんて思いながら


桜の下を歩く人々 それぞれに それぞれの事情があって
笑いあっていたって、その背中にはたくさんのものを抱えているのかもしれない

それでも、こうして春はやってきて

花が咲いて、それを眺めているのだからそこまでこれたのだから

せめて、今はひと時の平穏を―――



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大幅な修正を三度かけた結果、すっかり桜の季節は過ぎしてまうというオチでした。
季節がめぐると人はどうしても変わらぬものと変わったものを考えてしまう気がして
こんなものを書いてみました。相変わらずの遅さですが、
お付き合いいただけている方、いつも感謝しております。

次は長編です、このペースでいけば4月中に更新できるかと思います。
そろそろ10万HITが目先に見えてきたこともあるので、少し力をいれようかと思っております、はい。
まずは口だけでおわらぬようにせねばなりませんね(笑)


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感想

更新お疲れ様です。
この2人が夫婦になるまでの道のりを思えば、こうして他愛の無い会話をしつつ散策するひとときは何にも勝る至福のときなのでしょう。
個人的にもこういう話は好きなので読ませていただけるのは嬉しいですね。次回も楽しみにしています。

No title

咲いて美しく散る様も美しい桜ですが、そうですね
このお話の流れでは曜子さんは病気が回復傾向にはないという設定なのを忘れていました。
ミニアフターで病状が安定してかずさと他愛無いやり取りをしていたのでちょっとこちらの方を忘れていてこの話を読んで結構頭を揺さぶられるような感じで思い出しました。
美しくも寂しいですね……桜。
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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