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The Day After 44

「もし辛くなったらあたしだけを見てろ。あの時のようにまたあたしが導いてやるさ。」

そんな男前のセリフを男前な表情とともに春希に言ったかずさは
リモコンの再生ボタンを押す


そして動き出すDVD

春希はそれに黙ったまま一つだけうなずき

画面をみつめる

それを視界の隅で確認したかずさも画面に集中する

そこに映るのは、当然、あの頃の自分たち

何の憂いもなく今を最大に楽しんでいる姿

音楽と自分の隣にいる
余すことなく全てを映した映像は

その先に訪れる物語を予兆するかのよう

少なくとも2人はそう感じた

雪菜の背中越しにアイコンタクトを交わしあい、言葉にせずとも視線で動作で語り合ってる

そんな風にしか見えない

当時はあの熱狂の中、そんなにたくさんの会話をした覚えはなかったけれど

こうして映像で見てみると
後ろの2人は
2人の世界を作っていて
そのために演奏してるようにさえ見えてしまう

そんなどこまでも残酷に、罪深い物語を見せてくれたのだった―――



The Day After 44



最後まで見届けた2人は

静かに 涙を流す

最高の瞬間を見たことでそこから過ぎ去った時間と思い出の分だけ2人の心をどこまでも震えさせるからどうしようもなく
とめどなく流れさせる

かずさも春希も

言える言葉なんかなくて

黒く何も映してないはずの画面に魅入られたまま
静かに泣き続けている

春希だってわかってはいたことだ

かずさだって、本当は分かっていた

春希の為に前を 未来を見るようにしていたけども
この映像はそんな姿勢を簡単に突き崩して
あの日々を思い出させ
何も言えず、過去を思って泣いてしまうことを

どんなに強がってみても、強がりでしかないんだから

そんなかずさの姿を予想していた春希は
隣に座るかずさを思いっきり抱き寄せ
自分の胸の中に納める

再生が終わったからこそようやくできた

それまではどんなに辛くたって画面から目をそらせないし、そらさせることはできない
それじゃ先に進めなくなるから

たった十数分の映像なのに

それがこんなにもこんなにも

言葉に言い表せないくらいに

世界の色を変えてしまう

罪を突きつけてくる

壊れてしまったものを教える

もう一度同じ道を行こうとしてることを強く警告してくる

3人でいることが

間違いで

罪深く

決して続くことはない幻想なのだ、と

待っているのは悲劇でしかないのだ、とそれを思い出させられた2人は
ウィーンでの日々のように互いに体を寄せ合い、慰め合う
言葉でなく、互いの温もりでしか癒せない傷を互いになめあう

今、できることはそれだけしかなくて

だからそれだけをして

嵐が過ぎ去るのを
荒れ狂う感情が静まるまでそうし続けるのだ




「答え、出てるんだよな。」

そのぞれの想いも
くだした決断も
3人でいるということがもたらすものも

全て答えをだしたはずだ、3人で

それなのに、もう一度を繰り返すなんて。

でも、同時に変わることなんてできない自分たちを理解してしまってるが故に

こうなることを、こうなってしまうことを分かってしまう

その繰り返しだと知るのでさえこれで何度目なのだろうか

そう、果てしない輪の中でさまよい続けている

その苦悩と達観

それが運命なのだ、と

それらが混ざり合って零れ出たものが、先ほどの春希の言葉

分かっていたって、避けられないもの

人はそれを運命と呼ぶのだから

「それでもあたしたちのやることは変わらないさ。雪菜に全部ぶつけてぶつけられて、どうするか決めるしかない。」

涙声ながらハッキリとかずさが言う
どんなに感情が波立ってもそこに揺るぎはない

「だけど、雪菜の望みはどうするんだ?」

「あたしたちが東京にいるなら、受け入れなくてもそうなる、雪菜がそうするだろうから。要はそういうことだ。春希だって分かってるから、さっきのセリフなんだろが。」

自分たちができはしなかった、遥か遠くの異国にいてさえも想いを届けるということをやってのけた雪菜が
同じ東京の地にいながら遠くから眺めているだけなんて、するはずがない
そして、雪菜の願いを諦めさせる言葉を持ち合わせない自分たちだから
東京にいる限り、3人になるのは必然で
避けられるはずがない

避けたいならば、2人の世界に戻るしかなくて
でも、そんなものはもうどこにもない

雪菜が声を届けた時、その世界は消えてなくなった
だから2人が望んだとしても、戻れることはないのだ

そう、初めから答えなんて一つしかない

なんと言おうと、しようとも一つしかない

どこに向かって進もうとも、最後はそこにたどり着いてしまうから

だから、2人は覚悟を決めるしかない

運命にぶつかる覚悟を
もう一度、3人の物語を始める覚悟を

日本に戻るというのはそんな旅路―――



~~~~~~~~~~~~~~~
ということでウィーン編がこれでだいたい終わり日本に戻り冬が始まります
より一層技量が求められるところですが、うまくできなくてもしっかりと書いていきたいです。

ということで少し予定がオーバーしましたが、44でした。


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感想

更新お疲れ様です。
2人の流した涙には色々な想いや感情が込められているのでしょうね。
もうあの頃には戻れないし雪菜を彼女の提案通りに受け入れる訳にもいかない、2人の下した結論がどの様な物なのか気になります。
次回も楽しみにしています。
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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