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風が伝える季節の足音

いつの間にか、夜に耳にする音は

話し声やテレビの声、風鈴の音から 虫の音に変わっていた



窓を開ければ流れてくる風は涼しげで

髪を張り付かせる重くぬるいものから

髪を靡かせるものになっている



また季節の移ろう時が

少しずつやってきた

夏から秋へと 時が流れる






「今日は珍しくクーラーなしなんだな。」

風にその長い髪を靡かせる様がとても絵になっているかずさに

春希はいつもの調子で尋ねる

先週までは窓を締め切り、クーラー全開でだれていたというのに

今は夜風を心地よさげに感じているらしい

一週間でずいぶん変わるものである

「これだけ涼しいとさすがにな。というかこんな日は締め切ってクーラーつけてる方が蒸す。」

その大変貌をとげたかずさは思ったままで返した

セリフには美しい風景などまるで介さないような率直な感想

そのかずさらしさに少し春希は笑いそうになる

なにせ、ついこの間まで外に出た瞬間、家の中に引き返そうとするかずさを外出させるのがどれだけ大変だったことか

それがわずか半月も経たずに外が涼しいだなんて

思わずわらいたくもなる

でも、それだけ月日が過ぎゆくのは本当に早いということも教えられる

気が付けば夏は過ぎ去ろうとしている

2人の季節が少しずつ行こうとしている




「今年もまた秋がきたってことだな。」

言葉の裏を感じ合える2人には重たい言葉になるが、それをあえて軽く言う春希に

かずさは少し唇の端を持ち上げながら言う

「芸術の秋がきたってことだよな。」

やはり裏側に意味ある言葉なため

春希は正反対に少し引きつる

またろくでもないことに巻き込まれるのを感じたから

「予め言っておくと俺は仕事が忙しいのを忘れるなよ?少なくとも俺がやらないといくら日本にいても仕事が止まるからな。」

「だから?」

「だから、俺をお前の芸術活動に巻き込ないでくれ。」

「巻き込むとはなんだ。最初っからそんなことはしない。」

「・・・それ、どういう意味だ?」

既に何度も巻き込まれている身である春希にすれば

どう考えてもそれは裏の意味を持たせたものであるようにしか解釈できないのだ

「どうもこうも最初から主役はおまえだろ。」

「はぁ!?なんでそうなってんだ?」

初耳なセリフにすっとんきょうな声をあげる

だが、まさかそんなことを言われるなんて思いもしなかった

「なんでって、言い出したの、おまえだろ?あたしじゃないぞ。」

「いやいやいや、俺がいつそんなこと言い出したよ?」

春希としてはそんな記憶はまったくない

むしろ、そんなこととどれだけ縁遠いかほかならぬかずさが一番知っているはずである

それなのにいったいどういうことやら

「忘れたとは言わせないぞ?最初にバンドやるから手伝えっていったのおまえだろ。」

「それ!?・・・確かに、あの時はそうだったかもしれんが、それは・・・。」

春希はさすがにまさかそこが来るとは思ってもいなかった

確かに学園祭の時はやると言い出したのは自分だし

あのメンバーを集めたのは他ならぬ自分であり

それが故にいまこうなっている

夏がきて 秋がきて 冬がくることで

日本で季節が巡ることで

こんなにも想いが溢れそうになりながらも

必死で生きていることになっている

それなのに、かずさはさも当然のようにその原因であり発端を口に出す

その真意を春希は少し測り兼ねてしまう

そしてかずさはそれを春希の表情と仕草から感じ

何でもないように言うのだ

「どうせいつかはやらなきゃならないんだ。それなら早いほうがいい。むしろそう言いそうなのはあたしじゃなくて、お前の方だろ。」

その正論とかずさのおまけの分析に春希は返す言葉が出ない

自分なら、確かにそう言うだろうから

「いずれかはそうなるさ。あたしとおまえと雪菜だ、結局最後は音楽抜きには語れない。それにあたしたちはどこでどう過ごしたって音楽と接することなく生きていけないのさ。あたしはピアノ、雪菜は歌、春希は音楽そのもの、にな。」

「・・・そうだな音楽そのものからは絶対に逃げられないとは思ってる。たぶん、どっかで絶対に触れてしまうだろうし、その話題を求めてしまうだろうからさ。」

それがいやなら初めから開桜社なんて入りはしなかったはずだ

自分はどこかで必ずかかわってしまう

かずさと雪菜を知る自分が 音楽抜きにして生きることなんてできない気がしている

「だろ?ま、だからどうせならこっちから乗り込むつもりでいくかなと思ってな。」

「お前、そんなこと考えてたのか・・・。」

秋風に吹かれながら絵になる表情をしていた理由が分かった気がした

そう、かずさは前を向いていたから

「春希だってどうするかとは思っていたんだろ?」

「秋が来くるから、な。」

その春希だって考えてはいたことだ

秋は2人から3人になった季節

夏と冬に挟まれた

特別な季節

「ああ、秋がくるからな。」

今年もまた ここに 秋がやってくるのだ―――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回は季節SSで、2人だけのものに致しました
子供編の短編も書きつつ、長編も書きつつ、合間合間季節ものや短編ものも書いている感じです
そのせいで、全体的にばらけてなかなか一本ずつが完成しない罠に陥ってたりもしますが
なんとか一本季節ものを完成させました
子供編も、もう少しであがりそうです
一番手間取っているのは長編ですかね、大分佳境になってきましたのでその分四苦八苦している感じです

以上が大まかな進捗です
変わらずのマイペースですが、ご覧くださる皆様に感謝であります。

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更新お疲れ様です。
最初に読み出したときは過去を回想しているのかと思いましたが、どうやら現在進行の話の様ですね。The Day Afterの重要な事へ繋がっていくのかと考えるとこの後The Day Afterを読むのが楽しみです。
海空星雪様が毎回色々なパターンのssを読ませてもらえること大変嬉しく思っています。矛盾しているかもしれませんが無理をせず頑張ってください。
次回も楽しみにしています。
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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