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クリスマス前にふと思えば

「前からちょっと疑問だったんだが、母さんはなんでイルミネーションをやったりしないんだろうな。派出好きな母さんなら喜んでやりそうなものなのに。」

相変わらず人の膝の上に寝そべりながら今日は珍しくついている、というか、かずさの気を逸らすためにもあえてつけてあるテレビ画面を見ながらそんなことをもらしたかずさに
携帯と子機をサイドにおきながらPC画面を見入りつつ書類やメールの作成に必死になっている春希は、かずさの方を見ることなく

「そりゃそうだろ。今の俺の状況を見てれば察せられるんじゃないか?」

と理由も含めて完結に答えた

その言葉にかずさは上をみて春希の状態を確認し

「それもそうか。」

納得する

クリスマスと年末年始とでピアニストには忙しくなる季節
しかも自分のプロモートを自分でもやっていた曜子はさらに忙しいのは言うまでもないことだった
実際に春希はコンサートの開催準備に追われているこの頃である
曜子はその上、本番が近くなれば追い込みが必要になるためそこの時間を確保することを考慮すれば早めに準備するにこしたことはない
結果、イルミネーションの季節はそれどころではなくなるからだ
そこまで気が回らないといった方がいいかもしれない

「だから、今年はやりたいとか言うかもしれないな。」

納得していたかずさに付け加えるように告げた春希

なにせ今年からは時間と暇がある上に、この家にも見せる相手が、共に楽しめる家族がいる

「あー、言い始めるかも。ああいうの好きそうだし。」

画面の中では白と青のライトが交互に点滅していたり、サンタクロースやトナカイがライトアップされていたりと様々だが、どれも通りを歩く人目を強くひきつけるような明るく目立つものになっている
それは実に曜子好みではないかと思う春希とかずさ

「問題はこの家にイルミネーションが似合うかどうかってのと、家が大きい分、やるならけっこう大掛かりにやらないとならないとならないことか。」

春希としてはこのように広さやデザインを客観視する機会がある度に何とも言えない気分を感じる
自分が庶民派代表であることを差し引いても、この家は色々と規格外だよなぁと思えてしまうのだ

「ま、確かに広さだけは無駄にあるからな。でも玄関回りとか、門の辺りくらいならそこまで馬鹿みたいに広いわけでもないし、できるんじゃないか?母さんが自分でやるかに関しては首を捻りたくなるが。」

「ああ、そこはそうかも。となるとある日いきなり業者がやってくるのかもしれん。」

そう言いながらありえそうだなぁ、と2人とも思ったりする
冬馬曜子なら平気でそういうことをやる

「ただでさえ浮いているこの家がイルミネーションでさらに浮き上がって見えるってわけか?」

長年住み慣れた家だけあってかずさ自体は慣れたものだが、この家がそんじょそこらのお金持ちの家とは違うのはさすがに知っていることもあり、イルミネーションによって綺麗というより余計に浮いて見えるんだろうなと

「ま、あたしにはどう見えた所で何ら問題ないし、きにならないけどね。」

自分は基本的に引きこもり、特にこれからコンサートをひかえる時期になるためピアノ以外で外出することが皆無になるため、どう見えようが思われようが気にならないことがその理由で

「俺としてはこの家に帰るのが気恥ずかしくなりそうだ。」

家を出入りする機会が一番多い春希はそうなると少し複雑な気分になりそうで

「ただでさえ入りづらい家がさらに入りづらくなりそうか?」

そんな春希に笑いながらかずさがいう
住み始めた時の春希の慣れなさを思い出しているらしい
広いリビングにいたってどこか落ち着きがなく
かつてのかずさの部屋に決めた2人の寝室だって、居心地悪そうにしていた
いくつもの「理由」が重なり合っているから、そうなるのも分からないでもないが
かずさにしてみればなにもそこまでというはなしだ
そんなあの頃の春希の姿が脳裏に浮かんでいる

「そうは言うけど、この家に入りやすいって人の方が世の中からみれば少数派だからな。」

などといつもの春希の得意技を披露して誤魔化しにかかるが、それに引っかかるにはかずさは共に居すぎてるから

「だからってあの頃の姿がなかったことになるわけでもないだろ。借りてきた猫ってやつの姿がな。」

容赦なく本題に戻してしまう
かずさとしては今までに見ていない春希の姿を見れたことに喜びも覚えたくらいだが
それはそれとして春希をからかうネタとしても申し分ないものでもある

「冬馬家に比べれば大抵の家は庶民だろうよ。世の中の0.1%に属してるやつに笑われたところで、別にいいさ。」

負け惜しみにしか聞こえない春希のセリフにますます笑うかずさ
そして、今の春希のセリフにもう一つわらいどころがある

「その0.1%に属した気分はどうだ?」

「住むところ以外何かが変わったわけでもないから自覚なし。」

かずさの笑い話には実に端的な返事

「そんなこと言ったらあたしだってそうだぞ。昔から住んでるだけで。」

「それは嘘だろ。お前学生時代はストレス解消に豪遊したりしてたんじゃないのか?」

「そりゃ学生基準ならだろ。実際には月数万使うか使わないかで、生活費の中で比べればたかがしれる費用だぞ。」

「それだって充分高いが、いかんせんお母さんの収入が桁違い過ぎて誤差の範囲だよな、それくらいだと。」

「ブランド物を買いあさったりしたわけでもないしな。ただの嫌がらせな面が強かったから、欲しくて買ってるわけでもなかったからそんなものだろ。」

「まぁ、じゃなかったら今みたいなことにはなってないか。」

それこそ住んでいる所以外は生活自体は庶民派な2人
派手なことを好まない春希とそんな春希さえいればそれで満足なかずさなのだからそうなるのは必然

「となると、これからまたしばらくは母さんの思いつきに振り回れそうだな、あたしたち。」

「家族だからそういうものだろ。」

その説得力があるんだかないんだかの春希の言葉に

「そうそう、だからあたしが春希に甘えるのも世話をかけるのも、だ。」

満足そうに頷きながらそんな言葉を返す

「それこそ何を今さらだろ。家族になる前から世話させられっぱなしだったんだから。」本当にいまさら過ぎるそれこそかずさの世話はできる範囲は全てしてきたくらいだ
ウィーンではそういう生活であり、そういう2人でいた、わざとそうしていたのだから

「それはしょうがない。春希がどうしてもって言うから、素直なあたしは言うとおりにした結果だ。」

そのどうしてもと言った理由は色々あるけれど、かずさの家事能力にも原因があるはずなのだが、そこら辺は見ないフリ

「はいはい、そうだなその通りだな。」

そして春希もわざわざそれを否定するつもりもない
ただ見ないフリしてる点をセリフに込めて指摘する

「やる必要もなければやる理由も環境もない人生だったから、昔も今も。それで、できる訳がないさ。」

開き直りにも聞こえそうだが、まごうことこなき事実

「そういう所は本当に0.1%の人間って感じがするけどな。お嬢様キャラからはほど遠いが。」

そんな所は確かに世に言うお嬢様なのかもしれない
世間的なお嬢様キャラとはかする部分が僅かにしかないけれど

「むしろあんなお嬢様キャラの方が世の中にはいないだろ。それと、アーティストの子供でアーティストを目指してる奴は似たり寄ったりな家庭だと思うぞ。」

「冬馬家と比べるのが果たして妥当かどうか議論が分かれそうだけどな。」

さすがにその中でも飛び抜けているのは明らか

「それもこれも母さんのせいとも言えるんだけどな。ピアノ弾かないとあたしに興味示さないし、家事育児は人任せだし、自宅はこんなだし、でさ。」

「改めてきくと凄いというか何というか。それでもかずさにとってはお母さん、なんだろ?」

「まぁな。あんなんでもってのもあるし、不自由はしなかったし、むしろいいかどうかは別に変に母親面せず自由にやらせてくれてたってのもあるし、そうだったからこそあたしの最大のライバルになり得たと思うのもあるし、で。昔から母さんには色々と振り回されていたから、今、母さんができるくらいのことなら慣れたものだよ。」

そう笑いながら言うかずさ
かつてとは違い、穏やかに母親のことも語る
それはまた春希の成果でもあるのだし

「つまり、それくらいのことなら、ってところか。」

「ああ、それくらいのことならってところだ。」

そんな風に分かり合って受け入れる
今夜もまた家族の夜が更けていくのだ―――
















「あ、もしもし春希くん?わたし前々から思ったんだけど病室って殺風景過ぎるのよ。なにせ一面白い壁で、あるのはベッドと棚だけじゃない。何か変化というか、華やかさが足らないのよね。で、今は季節が季節だし、どうせなら病室にクリスマスツリーでも置こうと思って。そうすれば華やかになっていいんじゃないかと思うわけよ。ついでに退院する時は持って帰れば一石二鳥じゃない?クリスマスまでには退院できると思うし、我ながら良い案だと思うのよ。で、どれくらいの大きさがいいかしらねー?やっぱり人間大サイズくらいはいるわよね?」

「いえ、あの、それってそもそも病院の許可でるんですか?いくら個室でもさすがに無理なんじゃないですかね、というか、それ絶対に先生から思いとどまるよう説得してくれって俺が泣きつかれるパターンじゃないですか。」

「さすが母さん、常識から斜め上に外れたな。自分が病人だなんて思ってない人間はこれだから・・・。」



~~~~~~~~
ということでいつもの季節ネタをいれた短編SSになります。珍しくオチまでつけてみました。

最後のラスト3人のセリフ、曜子だけの方がいいのか、春希までがいいのか、かずさもあった方がいいのか少し悩みました。皆さんはどう思われましたかね?ご意見あれば伺いたいです。

それと、長編・子供たち短編は書き途中という恒例化して何の役にもたたないお知らせさせていただきつつ、今回はこの辺で。

本格的に冬になりまして、あっさりと風邪を引いた私がお届けしました~
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非公開コメント

予想通りで

更新お疲れ様です。
ラストはこの通りで良いと思います。
春希とかずさの会話の話題が曜子さんの昔と今に始まっていますし、今の曜子さんならという予想通りの行動を曜子さんがしたことでやっぱりねという感じのオチがキレイに?着いているのでは。
そして曜子さんの事を話しながら2人のこれまでのあれこれをちょっとばかり(じゃないかもしれませんが)辛い思い出も交えて振り返りながらでもお互いがいたおかげで今日があるという結論に達するのは当然とは言え読んでいて嬉しく思いました。
次回も楽しみにしています。
先日行われたアクアプラスのイベントで女性キャラクターでかずさがトップでした。この事がアニメ続編の起爆剤にならないかなあと期待しますが難しいですかね?

更新お疲れさまです
最後のオチについてですが、お約束としては曜子さんの声を電話越しに入れるだけでフェードアウトというのがスタンダードですがこの話の場合3人の言葉を入れて良いんじゃないかと思います

何より自分が春希やかずさのリアクションを知りたいから・・・
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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