そしてまた雪が降ったけども

世界を音もなく静かに という様にはいかず

雨混じりの雪が、雨音をたてている

静かに 音もなく という雪国の雪とは違う 湿った重たい雪

それでも次第に 確実に 世界を白く染め上げる

ふと窓の外をみればいつの間にか白銀の世界で

いつもの景色は綺麗に染め上げられ 別世界のよう

わずかな雨音だけが、かつての記憶の中の世界と違っていて

それだけが、もしかしたら救いなのかもしれない

そんな 雪景色


都会の雪景色


「雪ってなら、こう静かに降り積もるみたいなものかと思ってたけど、なんか水の音がするな。」

「まぁ、雪国とかと違って湿った雪ってのがこっちの定番だからなぁ。音もなく静かにしんしんと降り積もる、ってわけにはいかないんだよ。」

「かもしれないが、それだって知っていてもおかしくないんだけどな、昔もそうだったはずなんだから。」

「そりゃ単に昔っから引き込もりだからだろ。ピアノやってる頃は引きこもって気候なんか関係ないだろうし、その後だって引きこもってたことは変わらないから、雪音となんか意識してないだろうし。」

「引きこもってて悪かったな。それで話をそらしたつもりか?そうでない時だってあったのをわざと外したんだろうけど。」

「・・・それこそ、だろ。雪に雨音が混じってるかどうかなんて気にしている余裕もなかったし、雪そのものがあまりにも俺たちには重かったし。」

「・・・発見があるくらいに、今のあたしたちは変わったのか?余裕があるのか?」

「それも・・・どうだろうな。ただ、変わったのは、そうだろう?」

「ああ、そうだな。あの頃とはあたしたちは違う、ここまで来たんだから。」

「変化ってのは何も変わる事だけじゃなくて、今まで気づかなかったことを気づくことにもあるんじゃないかなって。」

「あしたと母さんの関係が変わったように、か。」

「だからこれだって十分変化なんだ・・・と思う。」

「そんな自信なさげに言われてもな。春希がそれで納得できるならいいけどさ、できるか?」

「・・・できるわけないだろ。こうして雪を見てるだけでこんなにキツイのに。」

「だろうな。相変わらずやせ我慢と無理ばかり得意なやつだ。ほらもっとあたしにくっつけ。」

「それでも、ここは東京なんだよ。」

「そして理屈こねて、面倒くさいやつめ。」

「そんなに嬉しそうに言わないでくれ。セリフと口調が全くあってないぞ。」

「それはしょうがない、それがあたしだからな。ついでに春希がいるならあたしは東京の雪だって、別の場所の雪だって怖くはない。」

「俺もそう言えたらと思うけどな。」

「春希にはトラウマなんだろうから、無理しなくていい。今すぐどうにかしようなんて思わなくていいさ。そのうち、慣れるのを待てばいいんだよ、あたしの前でまでカッコつけるなって。」

「カッコつけてるつもりはないんだけどさ、そういうの慣れなくて。」

「なんだかんだ言いながら、あたしよりも親との仲が疎遠なことの弊害ってやつか。」

「分かってるからわざわざ言わないでくれ。こんな雪の日にそれまで考えたくない。」

「そうは言うが、このことだって言えるようになったし、変化なんだぞ。少なくとも行こうと思えば行ける。あの頃とは違うんだ。」

「・・・確かに、そうだな。」

「選択できるようになったのも変化だし、そのことに気づいたのも変化だ。」

「俺たちの周りには思ってるよりよほど変化に満ちてるもんだな、まさかそれをかずさに気付かされるとは思わなかったが。」

「それこそ言うまでもない、時間は流れてるんだから。余計な指摘はともかくとして。」

「日々変わっていくのが当たり前、か。東京に戻ってきた時から、それが当たり前になったんだよな。」

「そういうことだ。となれば少しずつでも慣れていけるさ。だからそんなに無理してどうにかしようとするな。今はこうしてあたしの腕の中で震えていればいいんだ。」

「その提案はありがたいが、さすがにセリフには色々と突っ込みたくなる。」

「入れたくなるといって入れてるだろ。余裕がなくても減らず口だけは変わらないな、春希は。」

「そこは変わらないさ。性格ばっかりはそれこそ簡単に変わるもんじゃないからな。」

「確かに春希が減らず口言わなくなったら、病院に連れていくかあたしは悩むだろうけど。」

「それ、そっくりそのままお前に返すから。」

「それこそ、も、だ。母さんのことを考えてみろ。何も言わないと大変なことになる。それでなくとも、あの人との会話は気が抜けないのに。」

「そこは俺も全面的に同意するけども。」

「だろ?だから鍛えられたんだ、ついでに今は旦那もだし。」

「そのつなげ方はズルくないか?」

「春希を素直にさせるためなら手段は問わないことにしてる。でないと、いつまで経っても素直にならないし。今だってそうやってなかなか素直にならないし。」

「苦手なんだよ、本音で語るの。」

「こんな天気の日くらい、いいんじゃないか?」

「こんな天気の日だからこそ、じゃないか。雪が降ってる日に素直になれなんて。」

「ま、そうだな。春希が簡単に素直になったらその方が心配だし、今日はこれくらいにしておいてやるか。」

「ああこれくらいにしておいてくれ。」

「そこだけでも素直になっただけよしとするか。後はゆっくりしろ。」

いずれこの雪が止んで いつもの風景が戻るまで しばしの時を



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恒例の雪が降ったので季節SSとなります
単に公開を忘れていて、さっき思い出しましてこうして本日の公開となりました。

雪が降るたびにこうして少しずつ時間が流れていく2人なイメージです

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立場逆転

更新お疲れ様です。
普段はかずさの生活態度等について春希がアレコレと注意や忠告をしたりしていますが、雪が降るとその立場は逆になってしまいますね。
もちろんかずさも雪を見ると春希と同じ様な事を思うのでしょうがそこは割り切ってこれからの事を考えるのに対して、春希はどうしても思考が一時停止してしまう様ですね。
そこをかずさが叱咤激励して普段の春希に戻しますが、今回の様なやり取りは2人が一緒にいる限りずっと繰り返されるのでしょう。
やはりこの2人はお互いがかけがえのない存在であると改めて思いますね。
次回も楽しみにしています。
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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