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東京から海風に吹かれに

「こんなところも悪くないな、意外と。」

本土から船で僅か数分しか離れていないこの島だが
都会で暮らす2人にとっては充分なほど日頃とは違うことを感じさせてくれる場所

ホテルの離れから見える景色一面が木々と海で、
聞こえてくる音は、波の音、鳥の声など
人の生活音はたまにしか聞こえないくらいの自然の中

そんな海辺の窓にかずさは座りながら 外を眺めつつ言う

その長い髪が海風によって軽く舞い、その表情には軽く笑みが浮かんでいるこの光景は

まさに一枚の美しき絵画

誰もが目を奪われるような特別な光景

それを特等席で 他の人が眺めることのない絵を 春希は堪能しながら言葉を返す

「たまにはこんな滞在先もいいかと思ってな。ほとんど他の人と会うこともないだろうし、しかも東京からも遠くないわりにいい場所だから。」

「ああ、それもあるけどもこうしてちょっとした島なのがいいな。少しだけ都会の喧騒を忘れられそうだ。」

都会の喧騒などといったものに縁のないはずのかずさが漏らすこの言葉

春希は静かにこの一枚絵を眺めつづける

言葉にする必要のないものたちがいくつもあるから

水を差すこともなく

静かにその言葉に一つだけうなずく

「なんていうか、海の色とか聞こえてくる音とか風の感じが日本、なんだよなぁ・・・。」

呟くように続けるかずさの言葉を春希は静かに聞く

視線は変わらずその一枚絵

「といっても母さんに連れられて行った海なんてほとんど記憶に残ってないんだけど。」

「むしろ、その時にお前が何をしていたのかは気になるかな。」

春希としてはなんとなく答えは分かっているけども

「ホテルの部屋の中でゴロゴロしてただけだな。海に入るのも面倒だったし、だからといって日差しが強くて暑いばっかりの浜辺にいる理由もないし。」

「予想通りの答えだな、ほんと。で、今回はどうするんだ?泳ぐとはこっちも最初から思ってないけどさ。」

「あ~、特に希望はないぞ。のんびりできればそれで充分さ。ただ、折角春希が熱心に選んだ水着くらいは着て見せてやらないと、とは思ってる。」

「そこはかとなく誤解の招く表現が入ってるのが気になるんだが。お前が選ぶ気がないから俺が選んだ事実を棚に上げないでくれると助かる。」

「どうせあたしはどんな水着だってどうでもいいんだから、それなら春希が好きなものにした方がお互いに嬉しいじゃないか。」

軽口と軽口の応酬

「お前の場合、本当にどんなものを選んでも着そうだからこっちでちゃんと選ばないと、という謎のプレッシャーに押しつぶされそうになってたんだぞ。挙句に大抵のものは似合うから却って迷う羽目になったし。」

「そもそもあたしの場合、サイズの問題からいうほど多くの選択肢もないだろ。母さんにはよくなんでスリーサイズがこんなに違うのかと文句言われてたくらいだ。」

「デザイン的にはそう多くはなかったけど、色合いまで考えるとなんだかんだ考えさせられた。しかも、変なのを選ぶと着るくせに文句言うだろうし。」

「春希のセンスだから、そりゃ仕方ない。だから、最後はあたしもアドバイス出してたじゃないか。」

「むしろ、そのままかずさが決めてくれよとか思ったくらいなんだがな。」

お互いの言葉にわざわざご丁寧に返す

「それはダメだろ。そしたらあたしの楽しみがなくなる。」

「そんな楽しみは海に流しくれていいぞ、ほんと。」

「そういうわけにはいかないな。なにせ最終的にあの中からどれを選んだのか今だって結構楽しみなんだから。それは明日までとっておくとしても、興味はわく。」

「目の前の海に興味を示してくれてればそれだけでいいぞ~。」

旅先でも繰り広げる 変わらないこの日常会話

「自分でいのもなんだが、あたしが海にそこまで興味示すわけないだろ。一人だったら始めからこんなところにきてないさ。」

「かずさが一人だと海どころかそもそも外出さえしない引きこもりなのは知ってるから、海に見惚れて、なんてないのは分かっちゃいるが、折角来たんだから少しくらいそっちに興味持っていてくれていいぞ。」

「もう充分堪能したさ。」

「はやっ!?・・・長くはもたないと思ってはいたけど。」

「それに・・・わかってるだろ?長く眺めていると、よそ事を考えそうになるからな。」

それはお互いに分かってるから

だから春希はさっきのかずさの言葉に静かな同意するだけで何も言いはしなかった

水着の話で 少し間を持たせて でも会話することで静かに考える時間をつくらなかった

都会の喧騒が何を意味しているか、わからないはずがないのだから

「そういやかずさは大浴場とか露天風呂とか入るのか?」

「あたしが一人でわざわざ入りに行くわけないだろ。シャワーで流すならまだしも。」

「だよな、やっぱり。」

それたようでそれていない会話

ただ、無理にこれ以上そらそうともしない

そんな絶妙な 着地点

「だから今日も部屋にある風呂で充分だ。」

「それだとあまりいつもと変わらない気はするんだがなぁ。」

そんなこと言いながらも春希だって最初から分かっていたこと

「そもそも他人と共用だと下手すれば騒がれるからな、わざわざそんな面倒な事態を引き起こすような真似はしたくない。というか、あたしになんのメリットないことをする方が変だろ。」

「論理的にはそうかもしれないが、それだと温泉の存在意義が問われかねないんで、同意はしづらいな、うん。」

「あたしには温泉のなにがいいのかよく分からんからしょうがない。母さんは好きみたいだけど、あの人はそもそも温泉め当ててなのかついでなのか微妙だしな。」

絶妙な細い道をうまく行きながら続く会話

「大人になれば集まる目的にするのにちょうどいいんじゃないか。」

「海、山、より温泉か?若さがないよな、それって。」

かつてを繰り返してるかもしれない話をする

東京から離れて

海の音を聞きながら

夏の潮風に吹かれながら



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
8月中にいけるかと思ったのですがいけなかったというオチでした

やはり夏は山より海のイメージなので、海で今回も書かせていただきました
実際に浜辺で2人が戯れているという甘々のものよりも
こういう風なのがらしい2人だなと思いつつ、似たようなもの書いているなと分かりつつ
季節SSでした

過ぎ行く夏を惜しんで ともいえる作品です



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非公開コメント

かずさの楽しみ

更新お疲れ様です。
春希はごく普通の娯楽をかずさに満喫してもらいたい様ですが当の本人は全く興味無しといった感じですね。
かずさにとって一番嬉しい事は春希が自分の事だけをひたすらかまってくれることなので、今回の場合は春希がいかにして自分に楽しんでもらうべく奮闘したのかを聞く事がかずさの娯楽であり、水着の選択を春希に任せたのはそのご褒美のつもりかもしれませんね。
次回の更新も楽しみにしています。

静かな海も良い

更新お疲れ様です
まず気になったのは東京から数分で行ける舞台である島です(笑

かずさは春希と一緒ならどこに行っても構わないでしょうけど、それでも春希の努力に報いようという気持ちが少し見えて可愛いというか成長したな、というか
とにかくシリアスな事を忘れたわけではなく意識しつつもゆったり会話をするというほのぼのした良い話でした
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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