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秋が始まり、日々が始まり

「昼間はあんなに暑かったのに、この時間になると風が涼しくて・・・いつの間にか季節は変わり始めてるんだな。」

感慨深げにもらすかずさの隣りで
春希は同意半分、呆れ半分

珍しく仕事の都合もあって外出した2人だが
行くときは一歩外に出た途端
蒸し暑さに死にそうな表情して回れ右しそうになり春希の手を焼かせたはずのかずさが
そんな風に言うのだから、半分呆れが入るのも致し方ない所

でも、同意もできる

いつの間にか夕暮れには秋風が吹いていて
空は入道雲のように沸き立つ雲は見受けられず
細長い雲が薄く散らばっている様はまさに秋の空
季節は既に巡り始めている

夏から秋へと

それを肌で感じたのは春希もだ

「大分過ごしやすいし、外出はしやすい季節になったよ。」

そのセリフのような悩みとは基本的に縁のないかずさ相手では呆れもあるが
それでも季節の変化を感じ取っているのは一緒
日差しの下歩けば汗が吹き出るような暑さから
風があれば充分心地良く歩けるようになった

「過ぎ去ってみればあっという間だよな、時間て。」

夏も、5年も、2年も

「長いようで短いものさ。特に移り変わるその瞬間は。過ぎていくことに未練を感じるから余計に短く感じるんだろうな、と。」

2人だけの世界が終わることも

「惜しいと思うからこそ、か。」

その世界が続くことを願うからこそ

そのままで居続けたいと思うからこそ


「でも変わらないものはないし、変わらずにすむこともないんだ。」

体調だって変わるかもしれない
世界だって自分たちは変わらないことを望んでも、外から変革の力がかかることもある
遠くからの介入だってある

「季節も勝手に、いつの間にか、変わるものだし、仕方ないことか。」

「もう少し前向きにとらえてもいいとは思うけどな。」

「前向きに、なぁ。秋だとなんだ?」

「スポーツの秋とかどうだ?」

「そっくりそのまま返す。」

「じゃあ、読書の秋とか。」

「以下同文。」

「・・・芸術と食欲は秋に関係なくいつものことだし、そうなるとあと何かあるか?」

「それをあたしにきかれても・・・。なかなか前向きになるってのも難しいってことか?」

そういいつつ、ここがどこだかは2人とも分かってはいる
なぜここにいるかも、だ

「そうは言うが、後ろを向いてたって季節は戻らないのは確かだぞ。」

「分かってるよ、それくらいは。分かってなきゃここにはいないだろ。」

「・・・そう、だよな。」

分かってなければ、東京にはいられない

「だから、とりあえず秋の味覚ってやつでも楽しみにしとくさ。」

ここでしか味わえない季節を

「松茸でも用意しろってのか?」

「香りはいいかもしれないが、それだけだろ、あんなの。食べればただのキノコだってのより、果物だな。ブドウとかりんごとかを期待してる。もしくはくりご飯とか、炊き込みご飯とか。」

好物の果物だけではなく
敢えて記憶の中にある、子供の頃に食べたものもリクエストする
季節を象徴するようで それだけじゃないもの

「あー、確かにならではのものだな。」

春希も季節の食べ物として同意する
かずさがそれらを食べたのがいつどこでなのかをなんとなく理解しながら
なぜ、わざわざそれを言ったのもかも感じながら

「どうせならブドウ狩りにでもいくか?色々な種類のブドウを食べられるぞ。車で2時間もあれば行けるから遠くもない。」

理解しているからこそ、触れずに心にとどめる
それを用意することを 決めながら

「それはなかなか心ひかれるものがあるな。」

そんな風に会話しながら

訪れつつある秋の気配を全身で感じ

前を、やがて巡る季節を、見つめつつ

あの日も春希は歩いた河川敷を2人で行き

冬馬邸へと帰る

季節は巡る

同じ光景と 違うもの

この道のように一続きの過去から未来と

その中での変化

2人は同じことを感じながら 変わりゆく季節の中を 歩いているのだ―――


ということで、秋の始まりのSSです
次第に秋に変わっていく風景と風を感じたことと
あの川原の道が組み合わさってできたものです

なお、前作の東京から近場の小島ですが、近いと言ってもさすがに東京ではありません
イメージは隣の隣 電車片道2時間コースくらいの所謂日帰りでも行ける程度ですが泊りもいいという離れ具合ですね
詳しく書くと場所がどこだかまるわかりになるので(笑)、この程度でお許しを~

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何気ない会話の中に

更新お疲れ様です。
「後ろを向いたって季節は戻らない」と言う台詞であっという間にあの時を思い出す、二人には一生忘れる事のないWAの季節、日頃から交わされる時に掛け合いの様な会話は知らない人達には仲睦まじい夫婦の会話に聞こえても当人達にとっては苦い思い出を思い出さない為の手段の一つなのかもしれませんね。
次回も楽しみにしています。
プロフィール

海雪 海辺月

Author:海雪 海辺月
現在、White Album2 SS、特に冬馬かずさ SSを執筆がメインです。
目次はカテゴリーの未分類においてあります。
Eメール:umiyuki_4s@yahoo.co.jp
@を半角にしてください
メアド載っけてないことに今さら気づきました・・・

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